2018年9月29日

C++ による non-blocking socket を用いた http サーバの実装

Abstract
  http サーバは http daemon (httpd) とも呼ばれ,socket 通信を用いてブラウザと通信するサーバ側のプログラムである.以前は,接続数と同じ数のプロセスを立ち上げ,blocking を行う実装が一般的であったが,nginx (エンジンエックス) [1] の登場以来,特に静的な web ページでは,non-blocking な実装により,1 つのプロセスで複数の接続を処理することで,コンテキストスイッチと呼ばれるプロセス切り替えのオーバーヘッドを削減する手法が広がっている.しかしながら,non-blocking の実装サンプルは少なく,実装しても些細なミスで致命的に動作せず,また,存在するサンプルも,httpd の実装と,socket 回りの実装が密結合となっており,分離が難しいことが分かる.加えて,nginx のソースコードも,動作を理解するには,非常に大規模で複雑であった.したがって,本投稿では,定数時間でイベントを監視可能な epoll を用いて,httpd の socket 通信部分と httpd 部分とが疎結合となる見通しのよいサンプルを実装する.結果として,簡単な HTML と CSS を用いた画像付きのサンプルページを配信可能な httpd を実装した.また,request URL の確認において,hash table を用いた照合によりパスを確認することで,ディレクトリトラバーサル [2] のような,古典的で基本的なセキュリティ問題に対処した.