2018年7月21日

不偏分散の定義と証明,および n-1 の解釈

Abstract
  本投稿では,不偏分散の定義とその解釈について説明する. 不偏分散 $\sigma_u^2$ は, 1) 標本分散の期待値 $E[\sigma^2]=\frac{n-1}{n}\sigma_0^2$ と, 2) 母分散 $\sigma_0^2$ の偏りを無くすため,標本分散 $\sigma^2$ を $\frac{n}{n-1}$ 倍した値として定義される. このように,不偏分散は,期待値について偏りの無い分散として定義される. 数式の解釈について,サンプル数が有限の場合 (特に,サンプル数が極端に少ない場合),母分散の範囲に当たりをつけるには,分散を広めに見積もる必要がある.$\frac{n}{n-1}$ 倍は,1) と 2) を比較して,どの程度範囲を広げれば母分散の範囲を指示できるか,を計算した値と考えられる.

※ $n_0$ は 母数, $n$ は 標本の数 (サンプル数), $\overline{x}\equiv\frac{1}{n}\sum_{i=1}^n{x_i}$ は 標本平均, $\sigma^2\equiv\frac{1}{n}\sum_{i=1}^n(x_i-\overline{x})^2$ は 標本分散, $\overline{x}_0\equiv\frac{1}{n_0}\sum_{i=1}^{n_0}{x_i}$ は 母平均, $\sigma_0^2\equiv\frac{1}{n_0}\sum_{i=1}^{n_0}(x_i-\overline{x})^2$ は 母分散, $\sigma_u^2\equiv\frac{1}{n-1}\sum_{i=1}^n(x_i-\overline{x})^2$ は 不偏分散, をそれぞれ表す.